カンジダ・アウリス 診療の手引き
概要
近年、諸外国において多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのあるカンジダ・アウリス(Candida auris)による血流感染症等の侵襲性感染症の事例が多数報告され、問題となっている。
- 多剤耐性で重篤な感染症を引き起こす恐れのあるカンジダ・アウリスの海外株は、環境中で長期間生存するため集中治療室(ICU)などでの医療機器を介したアウトブレイクの事例が米国等から複数報告されている。院内で環境面への接触を含む接触感染等によりヒトからヒトに容易に伝播し、侵襲性感染症例は高い致命率を示す。
- 抗真菌薬への薬剤耐性率が非常に高く、米国疾病対策・予防センター(CDC)によると、分離株の約 1/3 が2種類以上の抗真菌薬に耐性であることが報告されている。加えて現状臨床現場で使用可能な全ての種類の抗真菌薬に耐性である株も報告され、薬剤耐性(AMR)対策の観点からも非常に重要な真菌種である。
※本手引き(第1.0版)は、2023年11月の情報を基に作成しました。今後の知見に応じて、内容に修正が必要となる場合があります。厚生労働省、国立感染症研究所等のホームページから常に最新の情報を得るようにしてください。
令和5年度 厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業)JPMH23HA2006の助成を受けた研究班「AMRに関するアジア太平洋ワンヘルス・イニシアチブ(ASPIRE)の実行のための体制整備に資する研究」(研究代表者:国立感染症研究所 菅井基行,研究分担者:国立国際医療研究センター 石金正裕)