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エムポックス 診療の手引き 第1.0版

はじめに

 エムポックスは,1970 年に初めてのヒト感染例がザイール(現在のコンゴ民主共和国)で確認され,中央アフリカから西アフリカで継続的に発生している感染症でした.常在国以外で輸入感染例は少数報告されていますが,ヒト- ヒト感染はほとんど起こらず,発端例からの感染拡大はありませんでした.しかし,2022 年5 月,エムポックス常在国へ渡航歴のある患者が英国から報告され,以降,常在国への渡航歴や患者との接触歴がない患者の報告が欧州やアメリカで急増しました.世界保健機関は,今回のエムポックスの流行が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)に該当すると7 月23 日に宣言しました.国内では2022 年7月25 日に初めて患者が報告されました.国内での流行は2023 年に入ってから本格化し,3 ~5 月にピークを迎え,最近は散発的な発生にとどまっています.
 今回の流行,再興感染症としてのエムポックスは,多くの患者が男性で性的接触による感染伝播であると考えられています.また古典的なエムポックスと症状や合併症の違い,病態別の治療方針,抗ウイルス薬やワクチンについて新たな情報が国内外から発信されています.本『手引き』では,現時点での情報と診療の実際,届出,感染対策についてできるだけわかりやすくまとめました.
 国内で発生するエムポックス患者の減少に伴い,社会の関心が薄れつつあります.奇しくも『手引き 第1.0 版の発刊直前に,国内初めての死者が報道されました.しかし,低レベルでの感染伝播は持続的に起こっており,医療機関ではエムポックスを考えなかったことによる医療従事者や患者への感染が,社会では男性から女性への性的伝播,患者から同居家族への伝播が危惧されます.すなわちエムポックスは特定のコミュニティに限定された感染症にとどまらず,広く感染が拡大する危険性をはらんでいるのです.
 本『手引き』が医療現場で参考にされ,扇情的な情報に左右されず,良い診療と情報が患者に提供されることを期待します.

研究班代表者 中村ふくみ


関連情報

重要なお知らせ

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これまでの実績

2023年11月
行政機関のHPの性感染症の確認
2023年10月
インフルエンザ患者もしくインフルエンザ様患者におけるエアロゾル発生処置時の感染対策
2023年10月
梅毒のマネージメント(治療歴のないRRR陰性・TPHA陽性)
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